| 殺菌革命は起こるか −上−
殺菌剤の落とし穴に挑む新技術
〜効果のばらつき解決へ一歩前進〜
食品衛生上の重要課題である殺菌をめぐり、新しい取組みが広がりつつある。
食品製造で一般的な殺菌剤である次亜塩素酸ソーダ(次亜ソ)の落とし穴を克服しようという試みだ。
新技術の登場により、殺菌効果のばらつき解決にも大きな一歩を踏み出した。
殺菌剤の落とし穴を克服する殺菌革命に至る試みとなるか。事例を追ってみた。(一瀬)
■次亜ソの限界
ある食肉加工メーカー。
生食に供される肉も扱うため、仕入れる食肉の品質に妥協は許されない。
ある時、思わぬ事態が起こる。
仕入れた食肉の生菌数が思いのほか多く、期待通りに殺菌できなかったのだ。
殺菌剤には次亜塩素酸ソーダ(次亜ソ)を利用。
食品で利用する場合、濃度12%の原液を200ppmに薄めて使用するよう、厚生労働省から指導されている。
ところが、厄介な問題が2つある。
200ppmに薄めるとpHが8.2〜8.8程度のアルカリになり、殺菌に有効な成分である次亜塩素酸が10%程度しか存在しなくなるのだ。
さらに厄介なのは、次亜塩素酸の濃度を計測する濃度計の精度だ。
現在一般的に利用されている濃度計でも、精度に対する信頼度は決して高くない。
濃度を正確に測定できなければ、殺菌効果にばらつきが出てしまう。
高い品質を確保したい同社にとって、安定性の高い殺菌法が早急に求められた。
■技術革新による克服
理論的には、次亜ソのpHを7.0以下の弱酸性にすれば、殺菌に有効な成分の存在率は70%以上へと一気に高まる。
実は、酸を加えて次亜ソのpHを調整し、殺菌力を高めようという試みは、多くの食品企業で昔から行なわれてきた。
ある程度の効果はあったが、殺菌力の持続性を維持する事が難しかった。
ある技術革新がこの課題を打破する。
特殊な攪拌(かくはん)技術を使って、次亜ソに水と低濃度の希塩酸をごく微量混合する技術だ。
安定性の高い殺菌成分を豊富に含んだ殺菌水を生成することが可能になった。
同じ濃度の次亜ソ比べ、殺菌効果は7、8倍にも達する。
この方法で生成された殺菌水は、一般にハセッパー水と呼ばれている。
同社では、従来次亜ソを使っていたこともあり、この新技術を搭載した装置を導入することにした。
原液に次亜ソを使う点では全く同じであり、抵抗が少なかったからだ。
これにより、仕入れた食肉の生菌数が多くても、充分な殺菌を行なうことが可能になった。
この技術を開発した(株)テクノマックスでは、次亜塩素酸の濃度を高精度で測定する濃度計も開発。
乳業メーカーで先月からテスト運用を開始しており、期待通りの成果を上げている。
テクノ社は、この濃度計を搭載した殺菌水生成装置を13日から、東京ビッグサイトで開催されるファベックス2005で公開する。
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